2019年末から自家製キムチにハマっている。
言わずと知れた韓国の代表的な発酵食品であり、家庭の味となっている漬物の一種。調べるほどに奥が深くバリエーションが無限にある。そして、仕込みも慣れてこれば比較的に簡単だし、出来上がるキムチの美味しさったら素晴らしいものがあるんだよね。このままライフワークになっていきそうな勢い。
そんなキムチは乳酸発酵の部類。市販されている日本のキムチは比較的に甘い。もちろん唐辛子の辛味はあるけど、他の味としては甘みが強いように感じる。で、いわゆる漬かりすぎって言われるくらいになると酸っぱさが出てきますね。
この酸っぱさがキムチの本性というか乳酸発酵がもたらす酸っぱさ。さらに漬け込んでいくと発酵が進み、酸っぱさが増していく。
前置きが長くなってしまいましたが、今日は発酵と腐敗の違いについて話していこうと思っています。
すでに書いていると思っていたのですが…実は書いていなかった(笑)
発酵と腐敗の違いは人しだい?
発酵と腐敗。
1つの例として納豆を考えてみましょう。僕は納豆大好きなんだけど、納豆が苦手な方も多いですよね。特に関西地方ではあまり好かれていない様子…。
納豆が好きな人にとって納豆は発酵食品ですが、苦手な方からすれば、『納豆は腐った大豆だ。』ということになります。
世界一臭い発酵食品の1つと言われるシュールストレミング。こちらも正直なところ、どう考えても腐った魚です。でも、発酵食品。
人に害がないなら大丈夫!
2つの発酵食品を例に出しましたが、同じ発酵食品を前にしても、発酵と呼ぶのか腐敗と呼ぶのかは個人で差が生まれてきます。
でね、この感覚ってかなり大切。発酵と腐敗を分けているのは人間にとって、それが美味しいのか美味しくないのか?役立つものなのか、役立たないものなのか?
発酵と腐敗を分けているのは、「人にとって有益なのか、有害なのか。」これなんですよね。
どうです??と〜〜〜っても人間本意で身勝手な定義ですよね。
微生物の視点から見れば同じ。
発酵においても、腐敗においても菌の気持ちになってみると実は同じことをしているんですよね。
魚でも、穀物でもいいけど有機物に微生物が付着する。そこで有機物を分解しながら、微生物は自らの活動エネルギーをゲットして、増殖していく。
どんどん分解されて、ガスが出たり液体になっていったり、別の物質に変化していく。
腐敗も、発酵も微生物の生命活動。もっと言えば生きていく上での代謝活動なんですね。その結果、糖分からアルコールを作ってくれるのが酵母、乳酸を作るのが乳酸菌といった微生物たちなわけです。
反対にこうした代謝活動の結果、有害なガスだったり、人間にとって好ましくない物質を作ってしまうことを腐敗と呼び、そうした活動をする菌を腐敗菌として区別しているわけですね。
改めて先人たちスゲェよ…!
こうして考えると現象としては『発酵=腐敗』なんですよね。そこに人が介在することによってでしか定義が分けられない。
そして、食べられるのか食べられないのかわからないものを興味本位だったり、おそらくは往々にして生命の危機に瀕して食し、製法を見極めて繋いできた先人たち。とんでもない人たちだなぁと改めて驚かされる。
納豆に初めて出会った人が「こんなもん、食えない!」と言っていたら…?まぁ、その後に他の人が発見するにしても最初は食べないでしょ?あの臭いだもん。でも、食べた人がいて食べなきゃ生きていけなかった環境だったのかもしれない。そうした中で微生物の存在をどこまでわかっていたのか、でも存在する何かを感じながら発酵文化が育まれてきたわけだよね。
生きて残っていくための発酵技法。僕らはそうした人たちの末裔なんだね。
では、今日はこの辺で。
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