みなさん、味噌は仕込みましたか?先日、僕にとって初めての味噌仕込みワークショップを開催してきました。もちろん、味噌の仕込みをするのですがその前に「発酵と腐敗のちがい」、「麹の役割は?」と言うことを熱くお話しさせていただいた。
参加してくださった方からもご好評をいただけて、とても楽しんでもらえた様子。何より僕自身もとっても楽しかった。自分が大好きな発酵という分野に興味を持ってもらって、その話をできるんですからね。
楽しいに決まっているし、本当に嬉しい。
今後、味噌作りだけではなく、ぜひ糀つくりワークショップをやりたいですね!
さて、今回は味噌づくりの話です。こうして手前味噌を仕込むワークショップも増え、ご自宅で味噌仕込み会をされている方も多いと思います。
でも、よく考えてみてください。これって、スゴいことじゃない??なにがって、誰がやってもだいたい成功しちゃうってことが。
そう、本当にだいたい上手くいくんだよね。各家庭で簡単にかつ美味しく出来ちゃう。だからこそ、手前味噌って言葉が生まれてきたんだとも思う。
美味しくできるから『ちょっと食べてみてよ、うちの味噌!』って伝えにいきたくなっちゃう。
ということで、今回はなぜ手前味噌は失敗しないのか?その辺りを書いていきますね。
塩バリアーが環境を整える!
そう、塩。塩が第1のポイント。
味噌は大豆、麹、塩で作られるわけですが塩の役割は味だけではないんですね。塩を混ぜることで僕ら人間にとって有能な菌、いわゆる発酵菌だけを味噌内に生き残らせることができる。
それは同時に有害な菌を遠ざけて腐敗を防ぐことになります。塩、スゴいよ。
塩の活躍によって腐敗につながる菌を遠ざけ、塩分濃度が高い環境下にも耐えられる発酵菌だけの環境になる。この時点で『腐敗して失敗だ…』という可能性が減っているんだよね。
仕込みの時に空気を抜くことも重要
環境を整えるという意味では仕込みする時にしっかりと空気を抜いておくことも大切なポイント。
内部に空気が残っていると、そこからカビが生えたりするんですね。残っている空気内にカビなどの菌が残っていることがあったり、酸素があることで菌が増えやすくなるんですよね。
そうしたトラブルを防ぐためにも仕込みをする時には容器の中へ味噌玉を投げつけたり、空気を抜くようにしっかりと押し込みながら仕込むんです。
酵母や乳酸菌がやってくる
ここまでは仕込みの話。
こうして仕込まれた大豆、塩、麹。ここからは麹に含まれる酵素の働きで大豆のデンプンとタンパク質を分解し始めます。これが味噌の甘みと旨味になっていくんだね。
そうやって発酵が進んでいくにつれて、次の変化がやってくる。
麹の酵素の働きで作られた甘みと旨味。そこに酵母や乳酸菌が寄ってくる。酵母といえばアルコール発酵だし、乳酸菌といえば乳酸を作り出す。味噌の独特の酸味や香りがこうして生まれていく。
同時にpHが下がるんですよね。乳酸菌が作る乳酸によって酸性に傾く。こうなっていくと更に他の菌たちは淘汰されていっちゃう。
ね、すごくない?味噌。
手の常在菌の話
ここまでで手前味噌が失敗しない理由はわかってもらえたと思います。仕込みの段階、発酵、熟成していく段階でと、大豆と麹、塩が腐敗せずに味噌になっていく仕掛けが出来上がっているんですよね。
もちろん、ここまでに説明した以外にも様々な菌は潜んでいて活躍していると思います。そのうちの1つが手についている常在菌と呼ばれる菌たち。
仕込みの時に素手で大豆と麹、塩を混ぜると手に住み着いている菌たちが味噌に混ざっていきます。
それらの菌たちも味噌の香りや風味に変化をもたらしているのでは?と言われているんですよね。1人1人が違った常在菌を身につけているので、混ぜる手が変わればできる味噌の風味も変わる。
一度、ちゃんと実験をしてみないとなぁと考えています。
というところで、今日は終了です。ではでは。
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