8月に入り、米作りは佳境に向かっていきます。いわゆる「土用干し」が終わりを迎え、出穂に向かって深水湛水での水管理に移っていきます。間断湛水にするところもありますね。
米に限らず、農業って…ここまで言いだすと何でもですけど、色んな正解があるんですよね。それぞれの地域で、それぞれの考え方で栽培方法って少しずつ違っている。
どれが間違いって事でもないし、どれが疑いようのない絶対的な正解でもありえない。
毎年、毎日の積み重ねの中で肌感覚や直感や経験則、知識、そういった物事を総動員して作られている。ほんと、米って言っても品種も違えば地域もちがって、気候が違えば行うことの時期や方法も本当に千差万別だなと思います。
とまぁ、ひとまず僕の田んぼは土用干しが終わり、湛水へ。
ということで今朝から掛け流し。掛け流しっていうと、温泉しか浮かばないけど、田んぼの水管理の話。土日は掛け流しにしておいて、その後は湛水。深水にする。いよいよ出穂に向けて準備だなぁ。あとは天候に恵まれて、ちゃんと水管理が出来ればってところかな。 pic.twitter.com/kyKNzeNbJ8
— 高下陽平|Youhei Takashita (@campanella225) August 2, 2019
初導入した中野式除草機
今年の試みというか変化としては除草機をまた変えてみた(笑)今年から仲間入りしたのが「中野式除草機」!
無農薬栽培におすすめ! 田んぼの草取りが楽しくなる「中野式除草機」この記事を拝見して、迷わず「使ってみたい!」って感じてしまったんです。
中野式除草機はピアノ線で除草する。
今朝も水調整と草の偵察。見つけたのは一本だけ。今年、新たに投入することにした「中野式除草機」をお試し。ピアノ線が草の芽を削ぎ取る。土を起こすことなく削ぎ取ることで、更に地中に眠っている2番草の種を起こさないようにする。もう少し草が生えてきたら実力のわかる写真を撮ってみます。 pic.twitter.com/MsogRYBS99
— 高下陽平|Youhei Takashita (@campanella225) May 25, 2019
こんな感じのね。木の板の裏にピアノ線が張られている構造になっています。この絶妙な高さ調整とピアノ線の太さに研究成果が詰まっているんだろうなと感じます。中野さんの特許商品。
で、昨年度に「これ、良いよ!」って言っていたのがこちら。
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もちろん、こちらも良かった。上の記事にてメリットとデメリットを紹介しているので、良かったら読んでみてください。でも、僕は昨年の言葉を反故にして中野式除草機が良かったと言いたい。
中野式除草機のココが好き!
この除草機のコンセプトは『「つらい」除草から「楽しい」除草へ』です。
この時点で素敵すぎるんですよ。もし、除草が楽しいものだったらどんなに素敵だろう…と無農薬でコメ栽培をしている方は思いますよね。同時に、そんなことってあるか?とも感じるんです。
なので、実際に中野式除草機を使ってみて、好きだなってポイントを書いていきます。もちろんメリットってことですね。
確実な除草能力!
まずは除草能力。1番重要なチェック項目になるわけですが、その除草能力の高さには驚かされました。
株間の除草開始。見てると先週の成果はなかなかのもので、条間はキレイ。株の近くがどうしても残ってるから、株間をやっていくときに丁寧にやっていこうと思う。田植え直後は怖くて株の間際は攻めれないんだよな…こんなふうに中野式除草機をかけたところは草が浮いてくる。本当に素晴らしい! pic.twitter.com/i7bxHxzPlO
— 高下陽平|Youhei Takashita (@campanella225) June 5, 2019
昨年まで使っていた回転式除草機も同じように除草された草は浮いてきます。浮いてくるんですけど、浮いてこないものも多かったなぁという印象が残っているんですよね。
その訳としては回転するからってことになると思います。回転する刃の部分に土ごと入り込んでしまう。回転するうちに地中に。で、しばらくして再び芽を出す。
[aside type=”normal”] 補足注意
後で後述もするのですが、除草機をかけて浮いてきた草は網などですくいとるのがベスト。浮きながら枯れていく前に落水してしまうと、また根付いてしまいます。[/aside]
軽い!小回りが利く!
中野式除草機を開発&製作されている「中野水田除草研究所」のHPにこんな一文があります。
これまで、重労働であり男性の仕事であった除草作業ですが、私共の除草機は女性、子供にも楽に扱え完璧な除草が行えます。
中野水田除草研究所
その言葉通り、僕が使っている1条用においては本体の軽さ、持ち手の太さからとても扱いやすくなっています。実際に子供(小学3年生)に持たせてみたところ、「軽いね!」という言葉をもらいました。
扱いについても回転式除草機より圃場内を進みやすいと言っていますし、僕自身が同じことを感じています。
デメリットというか注意しておきたいこと
良いことしか書いてこなかったので、ここからはデメリットというか…当然、こういう大変な部分もあるよって話ですね。実際、中野式除草機を使うことで楽にそして確実に除草ができるようになりました。
僕の中で楽によりも「確実に」が実感として助けられましたね。
楽にって訳にもいかなかったのは、圃場の広さが約10aあるのですが…その除草を出勤前の2時間弱で少しずつ1人でやっているということにあります。
使い方を守れば必ず結果がでる
同時にちゃんとルールを守って除草機をかけないと除草はできない。
こんなの当たり前のことなんです。薬と同じですね、用法・用量はお守りくださいという話です。守るべきことを箇条書きにすると、
- 適切な水深をとる。(約5cmが目安)
- 1箇所につき、ゴシゴシと地表を8回ほどこする。
- 除草開始のタイミングを守る。田植え後5〜7日。
このルールを守って除草ができれば必ず結果がでると感じます。
と言いながら、僕は守りきれませんでした…それは1反(約300坪)を1人で除草機で回ろうと思うとかなりの時間がかかるんですよね。活動時間も平日の早朝と休日の空き時間。気持ちの焦りから2つ目のルールを守りきれていない時がありました。
また、除草はタイミングがとても大切です。この機を逃すとしんどい…と言うタイミングがあります。それが3つ目のルールになるんですが、田んぼ全面をこの時期に1回は除草しておきたいんですね。それが回りきれなかった。どうしても労働力&時間が足りない。
それでも結果は出ている
そうやって時間との戦いになってしまい、少し雑に除草してしまった部分やタイミングが間に合っていない部分など反省点をあげると出てきます。それでも、やはり中野式除草機をこうやって紹介するのはルールを守って除草した部分の美しさと、間に合っていないなりでも除草ができたことです。
確かにベストなタイミングは逃してしまった地帯はあります。それでも、中野式除草機を使わずに除草をすることを考えれば、除草の確実性において大きく有利になっていたと実感しているんです。
来年はもう少し気合い入れて除草しようと言うのが反省点ですね。休日の時間をもっと割いてしまいたいのですが…とここからは言い訳にしかならないのでやめておきます(笑)
また、2条用の除草機もあるので、そちらにする手もあったのですが…僕の場合は、条間が乱れた部分がうまく通れない恐れや株間への転用も考えて1条用を選んでいます。
水田除草の革命だよ
ここまで中野式除草機の素敵なところ、守るべきところ、実際に使用した上での反省点や注意点を書いてきました。
いかがですか?興味が湧きますよね。実際に導入するかどうかは考えていただくとして…こうしてふり返ると大変なこともありましたが、やはり中野式除草機は革命的だなと感じます。
『しっかり除草機をかけた!』と言える部分は本当に除草できているんです。出来ていないとしたら、扱い方に間違いがあると言うことなんですよね。ちゃんとやれば結果が付いてくるって凄いことだと感じています。
今年の米作りは終盤。来年のことを考えていきたいと思います。除草だけではなくて、竹パウダーや苦汁を入れることを考え始めています。また、その辺りは記事にしたいと思います。
まずは次の春にこの記事を読み返して反省を活かすことですね。ではでは。
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