今日は甘酒が甘いワケを説明してみたいと思います。「甘酒なんだから甘くて当然じゃん!」くらいの方もいると思うんですよね。
でも、ちょっと考えてみてくださいね。お米と水で作るお粥って甘くないですよね?そこに糀が加わった甘酒はあんなに甘いのに。
そこに糀のヒミツというか働きがあるワケです。その仕組みを書いていきます!
その中で前回の「糀で作る甘酒レシピ。炊飯器で作るよりヨーグルティアがオススメ。」で何度も書いていた「温度管理」の大切さもわかっていただけるんじゃないかなと思います。
では、どうぞ!
甘酒の甘みはデンプンが分解されて生まれる
甘酒の材料と言えば、糀とお米(入れなくてもOK)と水。これを混ぜて、約60℃で6時間ほど置いておくと、ご存知の通りとっても甘い甘酒になります。
いきなり核心部分ですがこの時に何が起こっているかというと、お米に含まれるデンプンが分解されていっているんですね。
少し化学的な話になりますが、簡単に書いていきます。名前はよく聞くデンプン。ジャガイモを包丁で切って置いておくと包丁に白い粉が浮き出ますよね。アレ。
そのデンプンというのは、ブドウ糖が鎖のように結合した構造をしています(グリコシド結合)。難しい話はGoogle先生か学校の先生にお尋ねください(笑)
知ってもらいたいポイントは「デンプンはブドウ糖(グルコース)が繋がったかたまりだ!」ってこと。
デンプンを分解チョキチョキしちゃうアミラーゼ
そんな甘みの要因となるブドウ糖のかたまりであるデンプン。これを分解して、デンプンをブドウ糖にしていくのが甘酒作りにおける発酵ってことなんですね。
で、その時に活躍するのが酵素・アミラーゼ。
糀にはコウジカビが増殖する過程(ヒト的には発酵と呼んでる)で作り出した多くの酵素が含まれます。その中で代表的なものがアミラーゼとプロテアーゼと呼ばれる酵素。
そのうちのアミラーゼが甘酒作りでは大活躍しているわけですね。
アミラーゼはデンプンを分解してブドウ糖にしてしまいます。先ほど、デンプンはブドウ糖が鎖のように結合していると書きましたが、その鎖をチョキチョキと細かく切り離していくイメージ。
甘酒作り、その時コウジカビは…
ところで『あれ?コウジカビは?発酵に関与してないの?』と思いません?そうなんですよね。コウジカビそのものが活動しているわけではないんですよ。
約60℃まで温めた時点でコウジカビさんはお亡くなりに…というか50℃過ぎたくらいですね。死滅しておるのです(汗)
なので、細かい話ですが実際のところは麹菌が甘酒の甘みを作っているワケではないってコト。
コウジカビがお米の上で増殖していく中で、アミラーゼという酵素を作ってくれる。その酵素が糀やお米のデンプンを分解して、甘みになるブドウ糖に分解しているというのが大きな流れ。
60℃前後はアミラーゼの活性温度
甘酒の作り方の中で『温度管理が大切ですよ!』と言っていましたよね。その理由はといえば、60℃前後がアミラーゼにとって一番よい温度なんです。
酵素には活性温度(能力を発揮する温度)というものがあります。それがアミラーゼの場合、60℃前後になります。そして、それ以上に高くなってしまうと変質してしまって失活(能力を失う)します。
なので、甘い甘酒を作るためにはアミラーゼが力を発揮しやすい温度を保つことが大切になってくるんですね。
[aside type=”normal”]ここでは詳しく触れませんが、アミラーゼにも数種類あります。その中でも活性温度、失活温度に違いがあるんですよ。[/aside]
まとめ
僕自身、書きながらいろんな資料を当たってみるのですが微生物って本当に面白いなぁってことです。
実は高校生までで習っている生物、化学の範囲内で多くおコトを知っていたはずなんですけど…当時は生活の中の物事と知識とを結び付けられていなかったんだなぁと感じます。
食べて作って楽しむのも良いですが、少し掘り下げてみても面白いですよ。その知識が作り方・楽しみ方にも返ってきますし。
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