【黄麹菌、黒麹菌、白麹菌】麹菌の種類は大きく3つに分けられる。

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先日、「麹の勉強会」なるイベントに参加してきました。会場には100人前後の参加者がいたのですが、そのうち麹づくり経験者が6割をこえるという…ある意味で謎の会場となっていました(笑)

とても参考になる話から、麹づくり経験者だからこそ感じる「あるある!」というネタまで実りある時間だった。

さて、これまでひたすら米麹を作ってきましたが、そろそろバリエーションも広げていこうと考えています。ショップの「米と糀」で販売することになるかは別として単純に研究ですね。

ということで、ひとまず種麹を追加することに。1つはこれまで同様の甘酒に使える種麹、今野もやし「白麹雪こまち」。もう1つは馴染みの少ない黒麹。こちらはヒグチモヤシさん。

黒麹って馴染みないですよね。出身地域にもよるかもしれないですけど、僕は少なくとも麹をつくり始めるまで知りませんでした。

ということで、今回は種麹の種類のお話。

国菌・アスペルギルスオリゼーは黄麹菌

まずは何と言っても、国菌アスペルギルス・オリゼーの黄麹菌!

味噌、醤油、日本酒、みりん、酢を醸造するのに使用されています。僕がつくっている糀も基本的にはこの黄麹菌を使用しています。

ただ、実際に醸された麹を見ていると黄色というよりも白色の印象ですよね?これは黄麹菌の中でも、胞子が白い菌株を使用しているからなんです。

特に家庭で甘酒や塩麹を作られる方を想定すると仕上がりのキレイさから選ばれます。菱六さんから出ている「長白菌」「改良長白菌」なんかも色の白さが1つの利点となっています。

クエン酸を生成する黒麹菌

冒頭にも登場した黒麹菌。胞子が黒い。

どのようにして使われてきたかというと、沖縄の泡盛です。黒麹菌にも様々な菌株があるのですが、泡盛の醸造に使われている黒麹菌は「アスペルギルス・アワモリ」。そのまんま泡盛の名前を冠しています。

その特徴はクエン酸を多く生成すること。そう、酸っぱくなるんです!

酢のような酸っぱさではなくレモンの酸っぱさですね。クエン酸発酵が盛んなことで、お酒を醸造する際に「もろみ」を比較的強い酸性に傾かせることになります。

そうなることで、醸造途中において雑菌の繁殖を抑える効果が期待できるんですよね。温暖な気候での酒造りにおいて、クエン酸によるこの効果はとても利点だったんだろうと考えられます。

クエン酸の工業生産

また、黒麹菌はお酒の醸造以外にも活躍しているのです!実はクエン酸の工業生産の現場でも黒麹菌が使用されています。

ドラッグストアの洗濯コーナーに行くと売っているこういう製品。

子供達のお漏らしした下着や布団のシーツなんかを洗う前にバケツに水を入れ、そこにクエン酸を入れます。そこに下着やシーツを浸けておくんですよね。

そうすることでアンモニアをクエン酸で中和し、臭いを除去することが出来ます。魚の生臭さやタバコのヤニも同様の方法で洗濯が出来ます。

意外なところで活躍しているんですよね、黒麹菌。

焼酎で活躍する白麹菌

最後の1つが白麹菌。学名はアスペルギルス・カワチ。

先に紹介した沖縄黒麹菌のアルビノ変異種から河内源一郎さんによって単独に分離した菌種です。そこから学名もつけられています。現在、焼酎醸造に多く使われている麹菌。

黒麹菌の問題を解決した白麹菌

元々は焼酎醸造においても、沖縄の黒麹を元に培養した「河内黒麹菌」が使われていました。

それまで黄麹菌を使って焼酎醸造をしていたそうですが、黒麹を使うことで歩留まりを劇的に向上させました。クエン酸の効果だ…!

ですが、温度管理が難しいこと&黒い胞子が作業場を汚すことというのが難点となってもいたようです。

そんな中で発見されたアスペルギルス・カワチ。1924年のこと。その後、徐々に黒麹菌から白麹菌へと切り替えて行く酒蔵が増えていき1970年頃からは、ほとんどの醸造現場で白麹菌が使われるようなりました。

まとめ

大きく分類すると黄麹菌、黒麹菌、白麹菌と3つの種類に分けられる麹菌。ですが、実際にはもっともっと細かく個性の違いで菌株が分離しています。

種麹屋さんのホームページをみてもらうとわかるのですが、黄麹菌だけでたくさんの種麹が存在しています。また、その種麹も1つの菌株で作られているわけではなかったりします。

目的の醸造結果を得るために、種麹を変えたり、種麹自体の菌株選定を変えたりと日々、研究がなされているんですよね。

ちょっとマニアックな話も出てきてしまっていますが、楽しんでもらえていると嬉しいです。では。

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小倉ヒラクさんのこうじづくり講座を終えて。

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書いている人

1983年製。3児の父親。レコーディング・エンジニア。休日や平日の早朝は、趣味とは言えなくなってきた30坪ほどの畑と、1反の田んぼで過ごす日々…(笑)
大好きなお酒から発酵文化に興味を持ち、米を作っているなら麹も!ということでマイクロ麹屋さんを始めました。どうなっていくんだろ、僕の人生。

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